宅建試験について知りたい方へ。
「宅建ってどんな試験なの?」
本記事では、とくに学習初心者向けに、宅建試験の概要から取得することによるメリット、勉強方法から必要な勉強時間までを解説します。
宅地建物取引士試験ってなに?
宅地建物取引士試験とは宅地建物取引士になるための資格試験です。
そもそも宅地建物取引士ってなに?
宅地建物取引士は、宅地建物取引について専門的な知識と経験を持つ専門家・国家資格者です。
専門知識を活かして、不動産取引の当事者の利益を守ったり、取引がスムーズに行われるようにアドバイス・助言・重要事項説明をおこなうことが役割です。
つまり、専門的な知識を持ったプロが、消費者が安心して不動産取引を行なうように助けてあげてね~、という目的で創設された資格です。よって、宅建試験とは、不動産取引に関する基本的な知識を問う試験であり、不動産業に勤める人の登竜門的な資格でもあります。
どれくらいの人が試験を受けているの?
毎年20万人近くの人が受験します。直近10年間の推移をみると受験者数は増加傾向にあります。
受験するのに資格や条件はあるの?
宅建試験に受験資格・条件はありません。年齢・性別・学歴等の制約はなく、誰でも受験できる試験です。ちなみにこれまでの最年少合格者は12歳(小学6年生)の男の子だそうです(スゴイネ!)。
どんな人が受ける資格なの?
当然、いちばん多いのは不動産のお仕事をしてる人。その他には、建設関係や金融関係の仕事をしてる人も受けています。なかには学生で受験する人や、主婦の方も受けてます。
合格すると、どんなメリット・得があるの?
不動産取引に関する専門的な知識が身につく
宅地建物取引士試験は不動産取引に関する専門的な知識を問う試験です。合格すれば、当然ですが、その専門知識を得ることができます。例えば、私生活では家を買う・売る・借りる・貸す、、、という時に、勉強した知識が役に立ちます。
具体的にどう役に立つかというと・・・
●不動産の物件広告の意味が分かり、読めるようになる
●自分の頭で不動産を比較検討できて、良し悪しが分かるようになる
●不動産会社の営業トークだけに頼らずに済む
例えば『マイホームを建てる土地を買いたい!』という時に、不動産会社から、以下のふたつの物件情報をもらったとします。どちらも約30坪・3000万円の土地ですが、細かい点で品質が違っています。不動産・宅建の知識が無いと、この情報だけではその違いが分からないはずです。
一方で、宅建の知識があれば情報の意味が理解できるようになります。
具体的には、
『この物件は~~が注意点だな』
『土地Aの良さは~~で、逆に土地Bの良さは~~だな』
『土地~~の方が自分のニーズにあってるな。お得だな。』
みたいな判断が出来るようになります。つまり、不動産営業マンの営業トークに頼らず、自分の知識に基づいて不動産の良し悪しの判断が出来るようになるわけです。
相続の知識が身につく
●もしかしたら、親や親戚・自分の相続が発生した時に役に立つ
宅建では相続の知識も学習します。相続は人生でそう何回も経験するようなことでありませんが、お金が絡むことなので、トラブル・揉め事になることも多いです。そんな時に、宅建で習った相続の知識が役に立つはずです。
例えば、
『親が死んだら、自分は~~の相続権があるな』
『自分が死んだら、子供には~~の相続権があるな』
『自分は最低でも~~はもらえるな』
みたいな感じです。
給料が上がる
不動産会社によっては、宅建を取るだけで給料を上げてくれます。求人サイトを検索してみると、平均的には月2万円前後の支給、高い会社だと月5万円も支給している会社がありました(驚)。
年間に換算すると、約20~60万円の年収アップにつながります。5年も会社に勤めれば、累計100~300万円の収入の差につながります。結構大きな差です。
キャリアアップにつながる
この世には宅建士にしかできない仕事があります。もっとも代表的なものが『重要事項説明』です。
重要事項説明とは、不動産取引の契約をする前に、取引内容や対象となる不動産について重要な事項 (とくにマイナスポイント) を説明することです。
この重要事項説明を一人で完結できるのか?それとも他の宅建士の助けが必要なのか?これだけでも、雇う会社側からすると、その人への評価・信頼がおおきく違ってきます。なぜなら、重要事項説明という業務は宅地建物取引業の中でも特に重要な業務のひとつであり、一歩間違えば会社に大きな損害を与えることになような業務だからです。ですので、それを任せられている、ゆくゆくはその責任者にまでなることが出来たなら、それなりに会社からの信頼を得ていると言えます。
よくあるキャリアアップパターンとしては・・・
宅建を取る
→重要事項説明が出来るようになる
→不動産調査に関わる実務知識・経験が身につく
→会社からの信頼・評価が上がる
→未経験の人より仕事の幅が広がる
→有効活用・相続など仕事の幅が広がる
→会社からの評価が上がる
→昇格・昇給する
・・・
みたいなイメージでしょうか。
お客さんからの信頼につながる
もしもあなたが不動産会社でお客さんと接する仕事をしているのであれば、宅地建物取引士の資格を持っていることは、お客様の信頼を獲得することに繋がります。
もちろん、持っているだけで全部お任せ!とまではいきませんが、最近のお客さんでは『不動産会社の営業マンなら宅建ぐらい持ってて当然』という人も少なくありません。宅地建物取引士を持っているということは、それだけで一定の知識を持っている証となります。
ちなみに、私も不動産業界で10年働いていますが、一緒に仕事をする同業者で『この人すごいな~』『プロだな~』と思える人は、当たり前のように宅建を持っています。宅建士資格なんかは普通で、それ以外にも自信たくさん勉強し、スゴイ資格を持っている方もたくさんいます。
難易度は?難しいの?
宅地建物取引士試験の合格率は受験者の15~18%前後です。なお、直近4年間では15.5%前後に集中しています。例えば学校の30人クラスで考えると、クラスのうち5人前後が合格するぐらいの割合です。
ちなみに宅建試験では、合格点は合格発表まで公表されません。つまり、受験してから合格発表があるまで、何点とれば合格できるか分からないということです。宅建試験では全50問の問題が出題されますが、その年によって合格点が変わります。
ちなみに合格点の平均は
直近10年平均:34.1点
直近 5年平均:34.0点
となっています。
どれくらい勉強する必要がある?(大手スクールを参考に)
大手スクールが公開・公表している、合格に必要な勉強時間・学習期間の目安をまとめてみました。下記表を見てみると、勉強時間は300~400時間、学習期間は6~8か月程度が標準的と推定されます。
さらに『あなたが1日に確保できる学習時間』と『あなたが最終目標とするtotal学習時間』から『どれくらいの勉強期間が必要になるのか?』をまとめたのが下記の表です。
●いつから勉強を始めたらよいか?
●残りの期間から逆算すると、一日どれくらい勉強する必要があるのか?
学習計画を立てるのに役立ててください。
働きながらでも合格できる?
受験者の約8割が働きながら学習していることが推察されます。受験者の職業データによると、受験者のうち学生・主婦・その他の割合は合計で約2割。それ以外の約8割の人は、何かしらの仕事・職業に就き、働きながら勉強していることが推察されます。
よって、宅建は働きながらでも十分合格が狙える資格、と言えるのではないでしょうか。
試験はいつ?
試験は年1回。毎年10月の第3日曜日に行われるのが通例です。
どんな試験なの?マークシート式?記述式?
宅建試験では問題は全部で50問出題されます。ひとつの問題につき、4つの選択肢が与えられ、その中から正答をひとつ選ぶマークシート式の試験です。
みんなどうやって勉強してるの?勉強法は?
宅建の勉強方法は大きく3つに分かれます。
①独学による勉強
独学とは学校に通わず・先生や講師にも頼ることなく、ひとりで学習を進める勉強方法です。宅建は年間20万人も受験する人気資格です。当然ながら独学用の参考書・問題集も、本屋やamazonでたくさん販売されています。独学では、これらの市販の参考書・問題集を購入し、ひとりで計画立てて学習を進めることになります。
②通学講座による勉強
数々の資格予備校が、宅建受験者向けの通学講座を開設しています。大手どころでは、TAC・LEC・資格の大原・ユーキャンなどがあります。
通学講座では、試験日に向けて毎週1~2コマずつ授業スケジュールが組まれてます。受講者はこの授業に参加しながら学習を進めていくことになります。他の学習方法とは違い、“移動”や“費用“というコストが掛かる一方で、学習スケジュールが組まれている、先生の話を直接聞ける・質問できる、学習仲間が出来る等のメリットもあります。
もちろん、ただ単に授業を受けるだけでは合格は難しいですので、一定量の自主学習は必要になります。
③通信講座による勉強
通信講座は郵便や通信などの手段を利用して講座を受講して勉強を進める方法です。現在では、DVDやインターネット・音声等による講義を視聴し、学習を進めていく方法が一般的です。 その他、通信講座では郵便や通信(電話・メール等)を使って先生に直接質問が出来るケースも多いです。
通学講座と異なるのは、授業のスケジュールがこの日!と決められているわけではないため、自分で学習・受講スケジュール組んで進める必要があることです。実際の勉強自体は自宅等でおこなうため、独学と通学講座のちょうど中間ともいえる勉強法です。