宅建の試験内容を知りたい方へ。
「宅建ってどんな形式の試験なの?」
「どんな分野の問題が出題されるの?」
本記事では宅建の試験内容について、その出題形式や分野を解説しています。
宅建の試験内容は?
宅建試験はおおきく4分野で構成される試験です。
細かく分類すると、試験対象となる法令は20前後もあり、各分野の特徴を抑えて学習を進めることが大切です。
宅建の試験方法・時間は?
試験方法は?
宅建は四肢択一(ししたくいつ)×50問のマークシート方式です。
四肢択一とは「4つの選択肢のなかから、正しい選択肢をひとつ選ぶ」形式の問題です。
四肢択一×50問ですので、宅建試験は「200の選択肢について正誤判断をする試験」という見方もできます。
試験日程は?
毎年、10月の第3日曜日です。
ちなみに2020年は10月18日(日)です。
試験時間は?
試験時間は13時~15時(※予定)の2時間(120分)です。
宅建における問われ方の3パターン
「”正しいもの”を選べ」問題
4つの選択肢の中から、正しい選択肢を選ぶ問題です。この場合、各選択肢の「誤り」を指摘していき、消去法によって「正しい」選択肢を導く解法が一般的です。
【問 21】農地に関する次の記述のうち、農地法(以下この間において「法」という。)の規定によれば、正しいものはどれか。
- 耕作目的で原野を農地に転用しようとする場合、法第 4条第 1項の許可は不要である。
- 金融機関からの資金借入れのために農地に抵当権を設定する場合、法第 3条第 1項の許可が必要である。
- 市街化区域内の農地を自家用駐車場に転用する場合、法第 4条第 1項の許可が必要である。
- 砂利採取法による認可を受けた採取計画に従って砂利採取のために農地を一時的に貸し付ける場合、法第 5条第 1項の許可は不要である。
出典:令和元年度 宅地建物取引士試験
「”誤った選択肢”を選べ」問題
4選択肢の中からひとつだけ「誤り」の選択肢を見つけ、「一選択肢狙い撃ち」によって回答をおこないます。
「正しい」選択肢を見分けて「消去法」によって回答することも出来ますが、「選択肢が100%正しい」という断定が難しいことも多いため、「一選択肢狙い撃ち」で回答するケースが多くなります。
【問 9】 AがBに対して金銭の支払を求めて訴えを提起した場合の時効の中断に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。
- 訴えの提起後に当該訴えが取り下げられた場合には、特段の事情がない限り、時効中断の効力は生じない。
- 訴えの提起後に当該訴えの却下の判決が確定した場合には、時効中断の効力は生じない。
- 訴えの提起後に請求棄却の判決が確定した場合には、時効中断の効力は生じない。
- 訴えの提起後に裁判上の和解が成立した場合には、時効中断の効力は生じない。
出典:令和元年度 宅地建物取引士試験
「いくつあるか(個数選択)」問題
正しい(もしくは、誤っている)選択肢がいくつかあるか、分からない設定の問題です。
すべての選択肢の正誤を判断する必要があり、「消去法での回答」や「一選択肢狙い撃ちによる回答」ができないので、回答に時間がかかり、難易度が高くなります。
【間 30】 宅地建物取引業者が行う広告に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定に違反するものはいくつあるか。
- 建築基準法第 6条第 1項に基づき必要とされる確認を受ける前において、建築工事着手前の賃貸住宅の貸主から当該住宅の貸借の媒介を依頼され、取引態様を媒介と明示して募集広告を行った。
- 一団の宅地の売買について、数回に分けて広告する際に、最初に行った広告以外には取引態様の別を明示しなかった。
- 建物の貸借の媒介において、依頼者の依頼によらない通常の広告を行い、国土交通大臣の定める報酬限度額の媒介報酬のほか、当該広告の料金に相当する額を受領した。
- 建築工事着手前の分譲住宅の販売において、建築基準法第 6条第 1項に基づき必要とされる確認を受ける前に、取引態様を売主と明示して当該住宅の広告を行った。
- 一つ
- 二つ
- 三つ
- 四つ
出典:令和元年度 宅地建物取引士試験
4つの出題分野と出題数
試験分野はおおきく4つ(権利関係・宅建業法・法令上の制限・その他)に分類されます。分野ごとの出題数(令和元年度)は下記の通りです。
最も出題割合が多い分野は宅建業法で20問、続いて権利関係14問、そして法令上の制限8問と続きます。
分野 | 法令・内容等 | 出題数 | 小計 |
権利関係 | 民法 | 10 | 14 |
借地借家法 | 2 | ||
区分所有法 | 1 | ||
不動産登記法 | 1 | ||
宅建業法 | 宅地建物取引業法 | 20 | 20 |
法令上の制限 | 都市計画法 | 2 | 8 |
建築基準法 | 2 | ||
宅地造成等規制法 | 1 | ||
土地区画整理法 | 1 | ||
農地法 | 1 | ||
国土利用計画法 | 1 | ||
その他 | 税法 | 2 | 8 |
鑑定評価・公示地価 | 1 | ||
住宅金融支援機構 | 1 | ||
景品表示法 | 1 | ||
統計 | 1 | ||
土地 | 1 | ||
建物 | 1 | ||
合計 | 50 |
各分野の試験内容とその特徴
権利関係
契約や債権債務など、私たちの日常生活にも関わりの深い内容を学習します。
ただし、普段では使わない法律用語・表現が多く登場するので、用語の意味を理解しつつ、文章表現にも慣れが必要です。
なお、権利関係で得点を稼ぐには単純に「暗記」だけでは不十分で、知識を応用して理論的に考え判断する力が必要になります。
法令分野 | 学習内容 |
---|---|
民法 | 契約(約束ごと)・債権債務・相続等の規制・ルール |
借地借家法 | 建物・土地を貸し借りする場面での規制・ルール |
区分所有法 | 分譲マンションのような区分所有建物に関する権利関係や管理組会運営の規制・ルール |
不動産登記法 | 不動産登記の仕組み・手続き |
宅建業法
宅建業者の開業・免許登録や、実際の業務に関する規制・ルールを学習します。
理論的な思考判断よりも、暗記した知識に基づく正誤判定がおおい科目です。ただし、ひっかけ問題も多いので、各規定を正確に覚える必要があります。
学習量が点数に比例しやすいので、演習を重ねて得点源にしていきましょう。
法令分野 | 学習内容 |
---|---|
宅地建物取引業法 | 宅地建物取引を事業としておこなう場合の規制・ルール 例:免許制度、宅建士制度、報酬、重要事項説明 等々 |
法令上の制限
土地利用や建物建築に関して規制を定めている法令を学習します。
複数の法令にまたがって、広く・浅く学習を進めていくので、各法律の関連性や原理原則・全体像を理解しながら学習をすることが大切です。
法令分野 | 学習内容 |
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都市計画法 | 都市計画の規制・ルール |
建築基準法 | 建築に関する規制・ルール |
宅地造成等規制法 | |
土地区画整理法 | 土地区画整理に関する規制・ルール |
農地法 | 農地を転用・権利移転する際の規制・ルール |
国土利用計画法 | 大規模な土地の売買を行った場合の規制・ルール |
その他
出題傾向がはっきりして得点しやすい分野と、傾向が読みづらく得点しにくい分野にはっきりと分かれます。メリハリをつけて学習することが大切です。
法令分野 | 学習内容 |
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税法 | 固定資産税、不動産取得税、所得税 等 |
鑑定評価・地価公示 | 不動産鑑定評価の手法 公示地価の決定から公示までの手続き 等 |
住宅金融支援機構 | 証券化支援業務や直接融資など |
統計 | 不動産に関する統計情報について |
土地 | 土地に関する一般的な知識 |
建物 | 建物に関する一般的な知識 |