よみ しょうやくてつけ
「証約手付」をざっくり言うと、、、
証約手付とは
不動産売買契約時に、売主と買主の間で授受される手付金のひとつ
で
契約の当事者どうしが、契約したこと・約束を守ることを確認し、その証拠・証明として受け渡しされる手付金のこと
です。
「証約手付」を詳しく説明すると、、、
そもそも手付金とは、不動産の売買契約の場で、買主から売主に支払われるお金のことをいいます。
まずはこの手付金について、順を追って説明します。
日常的なモノの売り買い(売買)では、当事者が『売ります』『買います』と合意し、代金の支払いと商品の受取りが完了すれば、取引は終わりです。
例えば、コンビニで品物を売る・買うという売買取引でも、レジで商品代の支払いをし、品物を受け取れば、それで取引は完了します。
それに対し、不動産の売り買い(売買)ではそう簡単にいかない事情があります。
それは、契約当事者である売主と買主が、それぞれ”お金を払う”・”引き渡しをする”までに多少の準備が必要だからです。
具体的には、、、
●売主:不動産を引き渡す準備(例:引っ越し、荷物撤去、測量、抵当権の抹消 等)
●買主:お金を支払う準備(例:ローンの手続き、送金の準備 等)
などです。
そこで、不動産の売買取引は大きく2段階のステップを踏んで行われます。
まず、ひとつめは売買契約の締結です。
売買契約の締結とは、簡単にいうと、、、
●売主:~~円を支払ってくれたら、この不動産をあげるよ!
●買主:この不動産をもらえるなら、〇〇円を支払うよ!
と、お互いに約束(合意)をすることを指します。
契約では、売主と買主が『互いに準備をいついつ迄に終えて、最後にまとめて手続きをしましょう』と具体的に約束することになります。
そして契約後しばらくの期間をおき、互いの準備が整ったタイミングになってはじめて、
買主が代金を支払う
売主が不動産を引き渡す
という、実際の売り買い手続きがおこなわれることになります。これがふたつめのステップである、残代金支払い・引渡し、です。
以上のような理由で、一般的な不動産売買(不動産の売り買い)では、“契約”と“代金の支払い・不動産の引渡し”が別々におこなわれます。そして上記の2つのステップのうち、”契約“の場において、買主から売主に支払われるお金を手付金といいます。
ちなみに、手付金と売買代金とは全く別物です。
ただし、一般的な売買契約においては『手付金は、残代金支払時に売買代金の一部に充当するものとする』という取り決めがされることが多いです。その場合、最終的には手付金は売買代金の一部となります。
なぜ、手付金を受け渡しする必要があるのか?
では、そもそもなぜ契約時に手付金を受け渡しする必要があるのか?というと、、、
じつは手付金を受け渡しする理由は、その役割や目的によって3種類に分類されます。今回のテーマである証約手付とは、その3種類の手付金のうちのひとつです。
こちらも順を追って説明します。
まず、冒頭で伝えたとおり、 一般的な不動産売買取引は
①契約
②代金の支払い・不動産の引渡し
という流れで、2段階のステップを踏んで行われます。これは、不動産の売買では、実際の代金支払いと不動産引渡しをおこなうまでに、どうしても準備が必要だからです。
そして、取引が2段階でおこなわれるということは、1段階目の”契約”から2段階目の”代金支払い・引渡し”までには、しばらく時間が空くということです。
そうなると、売主と買主にはひとつの心配事が出てきます。
それは『代金支払い・引渡しに向けて準備するのはいいけど、契約した相手も、ちゃんと約束を守ってくれるかな・・・?』という心配です。
具体的には、、、
●売主:不動産を渡す準備するのはいいけど、ほんとに代金払ってくれるかな?
●買主:お金の準備をするのはいいけど、ほんとに引き渡してくれるかな?
というものです。
そこで不動産の売買取引では、契約の時に
『これで間違いなく契約したからね!!』
『お互い、約束したことをちゃんと守ろうね!』
と、 売主と買主が“契約したこと”・”約束を守ること”を互いに確認して、その証(あかし)として手付金を授受する習慣があります。
この”契約したことの証拠“という役割・目的を持つ手付金を、証約手付といいます。
証約手付を受け渡しする目的・意味は、相手の本気度を確かめる、そして契約した後に相手に「やっぱり、や~めた!」と言わせないようにクギを指す、という点にあります。
証約手付を授受することによって、
●売主:手付金を払ってくれた買主だから、ふざけて契約したということはないだろう。
●買主:手付金を受け取ったんだから、ふざけて契約したということはないだろう。
と、互いにすこしは安心できるという訳です。