よみ てつけのがくのせいげん
「手付金の額の制限等」をざっくり言うと、、、
手付の額の制限等とは
“売主が宅建業者・買主が宅建業者以外”の“不動産売買取引”にだけ適用されるルール
で、
具体的には、
『売買代金の20%を超える手付金を授受するのはダメ!』
『手付金を授受した時は、どんな時でも自己都合解約できる機能(解約手付としての役割)を持たせることにする!』
『上記のふたつのルールに反する特約で買主に不利なものは無効とする!』
という
3つのルールの総称
です。
「手付金の額の制限等」を詳しく説明すると、、、
前提知識から順を追って説明します。
まず手付金とは、不動産の売買契約の場で、買主から売主に支払われるお金のことです。
一般的に不動産の売買取引は、大きく2段階のステップを踏んで行われます。
ひとつめが契約の締結。
そしてふたつめが代金支払い・不動産の引渡しです。
なぜ2つのステップがあるかというと、不動産の売買取引は、その当事者が『売ります』『買います』と合意してから、実際に”お金を払う”・”引き渡しをする”までに多少の準備が必要だからです。
具体的には、、、
●売主:不動産を引き渡す準備(例:引っ越し、荷物撤去、測量、抵当権の抹消 等)
●買主:お金を支払う準備(例:ローンの手続き、送金の準備 等)
などです。
上記の理由から、不動産の売買取引では、まず『売ります』『買います』という合意・契約をして、その後、しっかりと準備が整ったのちに代金支払い・商品の引渡しをおこなうという流れになります。
そして上記の2つのステップのうち、”契約“の場において、買主から売主に支払われるお金を手付金といいます。
この手付金は、その時々の条件によって、3つの役割・機能を持ちます。
①契約したことの証(あかし)・証拠としての役割・機能(証約手付)
この手付金は、売主と買主の双方が
『これで間違いなく契約したからね!!』
『お互い、約束したことをちゃんと守ろうね!』
と互いに契約したこと・約束したことを確認する、そんな役割・機能を持ちます。
②自分都合で契約を解約できる役割・機能(解約手付)
この手付金は、受け渡しした手付金と同じ額を契約相手にペナルティとして支払えば、自分の都合で契約を解約できる、という役割・機能を持ちます。
③債務不履行があった場合の違約金としての役割・機能(違約手付)
この手付金は、契約の当事者が、契約で定めた事項を守ってくれないとき(=債務不履行が発生した時)に違約金とみなされる、そんな役割・機能を持ちます。
以上が手付金に持たせることが出来る、3つの役割・機能です。
これらの3つの機能は、役割として全部持たせても良いですし、ひとつだけ持たせてもOKです。『この機能を持たせなくてはいけない!!』ということはありません。
そして、受け渡しされる手付金の額については、特に上限や下限が決められているわけではありません。
しかし一方で、これらの手付金の機能・役割を逆手にとり、
その昔、悪質な宅建業者が
『手付金に解約できる機能・役割を持たせないようにする』
『わざと多額の手付金を授受させて、過剰な違約金を請求する』
といったトラブル・問題が発生していました。
そこで宅地建物取引業法という法律では、売主が宅建業者・買主が宅建業者以外という売買取引をおこなう際には、
●売買代金の20%を超える手付金を授受するのはダメ!
●手付金を授受した時は、どんな時でも自己都合解約できる機能(解約手付としての役割)を持つことにする!
●上記のふたつのルールに反する特約で、買主に不利なものは無効とする
というルールが作られました。
これが“手付の額の制限等”です。
ちなみに『不動産の売買取引をする場合で、売主が宅建業者・買主が宅建業者以外、の時だけに適用されるルール(制限)』のことを『自ら売主制限』と呼びます。そして、このルールは合計で8種類あるので、別名『8種制限』と呼ぶこともあります。
今回のテーマである、 手付の額の制限等はそのひとつです。